再エネ先進国の状況
ドイツの再生可能エネルギーシフト状況
https://www.challenge25.go.jp/roadmap/foreign_germany.html
https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1304/23/news022.html
https://kobajun.chips.jp/?p=11349
電力の50%を風力と太陽光で得たドイツ、記録更新中
ドイツは長い時間をかけて電源構成を変えてきた。石油は使わない。原子力は抑えていく。石炭と天然ガスは増やさない。その代わり、再生可能エネルギーに頼る。2013年4月にはその成果が目に見える形で現れた。
また1つドイツが再生可能エネルギーの記録を作った。
ドイツのシンクタンクInternationales Wirtschaftsforum Regenerative Energien(IWR、再生可能エネルギー国際経済フォーラム)は2013年4月18日の正午、ドイツ全国の電力のうち、50%以上を風力発電と太陽光発電がまかなったと発表した。
欧州の主要な電力取引所であるEEX(European Energy Exchange)のデータによれば、風力発電と太陽光発電の合計が初めて36GWに達した。これは原子炉30基分以上に相当する出力だ。IWR所長のNorbert Allnoch博士によれば、長期休暇などを除き、電力需要の多い平日に50%を達成したのは初めてのことだという。
ドイツの電力消費パターンは、他の先進諸国と似ている。夜間は消費電力が少なく、日中に多い。つまり発電能力は夜間よりも日中に必要となる。日中は正午に向かって電力需要が伸びていく。2013年4月18日の電力需要は夜間が40GW、正午が約70GWだった。正午には70GWのうち、36GWを風力発電と太陽光発電がまかなっている(図1)。
図1には4月18日の深夜0時から24時までのデータが示されている。縦軸はMW。石炭火力や原子力などの非再生可能エネルギーを利用した発電を灰色で示した。水色は風力発電、オレンジは太陽光発電だ。正午には最大値の70GW弱に達しているものの、非再生可能エネルギーによる発電出力は夜間と同等水準に保たれている。ピーク出力を再生可能エネルギーがまかなっていることが見て取れる。
長期的な計画の成果を得たドイツ
4月18日の記録は偶然の結果ではない。なぜなら、1990年から一貫して再生可能エネルギーの比率を上げてきているからだ(図2)。電源構成に占める各種のエネルギー源の推移を図2から読み取ることができる。2011年は画期的な年だった。石炭と原子力を再生可能エネルギーが追い越したからだ。2013年以降、数年のうちに再生可能エネルギーが最大の電力源になることも予想できる。
実際、2012年には再生可能エネルギーの全発電量に占める割合は21.9%に達した。この統計値は、ドイツArbeitsgemeinschaft Energiebilanzen(AGEB、ドイツエネルギーバランス)によるものだ。ドイツの目標は高い。2020年にはこの割合を35%以上、2030年には50%以上、2050年には80%以上まで高める計画だ*1)。
*1) 2022年までに稼働中の9基の原子炉の稼働を停止する他、2050年までにエネルギー消費量自体を2008年の半分に削減することで実現する。
AGEBは再生可能エネルギーを5種類に分類している。風力、水力、バイオマス、太陽光、家庭ゴミだ。どれが伸びているのだろうか。図3によれば、水力は20TWh前後で落ち着いている。これ以上の伸びしろはなさそうだ。2000年以降の伸びを支えてきたのはまず風力、少し遅れてバイオマスだということが分かる。2009年以降は太陽光の伸びが急激であり、2011年には水力を追い越し、バイオマスに追い付く勢いである。
複数の特性の異なる再生可能エネルギーを根気よく、バランス良く育てることが重要だ。
スウェーデンの再生可能エネルギーシフト状況
https://www.geocities.co.jp/NatureLand/5908/swedish_biomas.html
風力以外に、再生可能エネルギー政策の一環としてスウェーデンが打ち出しているのが、2003年に施行された電力免許状(Elcertifikat)というシステムです。これは再生可能エネルギー生産者を支援する制度で、水力発電、風力発電、地熱発電、波力発電、太陽エネルギーそしてバイオ燃料によって生産された毎1MWhの電力に対して国家から特許が与えられます。生産者はこれをもって、一般的に通常より高めの値段で電力市場に電力を販売することができるのです。
政府はこの支援政策を通して、再生可能エネルギーの生産量を2002年当時の75,3TWhから2020年までに25TWh増量し、100,3TWhにしようと目指しています。また今年1月1日からは、ノルウェーと結ばれた協定により両国間でこの免許状が利用できるようになりました。両国は2020年までに更に13,2TWh、つまり両国10%ずつの生産量アップを掲げています。
国民が電力会社を選べる
再生可能エネルギー政策に関与するのは、なにも産業界だけではありません。国民が自由に電力会社を選ぶことのできるスウェーデンでは、このエネルギーを供給する会社を選ぶことによって自ら政策に貢献することができるのです。
スウェーデンでは、賃貸や寮住まいの場合、契約先の電力会社はおのずと決まり、電気代も家賃に含まれます。しかし、家を購入するとなると、100以上ある電力会社の中から自分の生活に合ったものを選ばなくてはいけません。電気料金にも固定制と変動制の二つがあり、どちらを選ぶかは個人次第です。変動制とは、電力市場の供給可能量やその価格によって料金が変化するシステムで、固定制は、市場に左右されない一律の料金システム。しかし、どちらがお得かは一概に言えないのが悩ましいところです。
私達カップルも、ストックホルムへの引越しを機にアパートの一室を購入したのですが、電力選びには一苦労しました。結局、パートナーの彼に全てを任せて決めましたが、今回の記事をきっかけに少し調べてみました。変動料金はエネルギー税など全てを含めて89.1öre/kWh(10.87円。1kr=100öre)、私達が契約している2年契約制の固定料金は96öre/kWh(11.71円)と、3月上旬調査時点では変動料金の方がお得のようです。また、この電力会社は100%水力発電を利用しており、その特許代として4.9öre/kWh(0.6円)がプラスされていることが分かりました。知らなかったとはいえ、自分達が再生可能エネルギーを使用していたというのは嬉しいことです。
スウェーデンの再生可能エネルギー協会のサイトです。
ドイツ発 エネルギーシフト ~持続可能な社会に向けて~
2022年までの脱原発で閣議決定(要約)
連邦内閣は8つの原発の即時停止と、脱原発を2022年までに段階的に行うことを決めた。即時停止される原発のうち1基は、ことによると冬の電力不足に備えて2013年まで保持される。そうしたスタンバイ状態の原発が必要かどうかは、連邦系統規制庁が数週間の間に決定する予定だ。
即時停止される以外のまだ発電中の9基は、以下のスケジュールで停止される。
2015年 グラーフェンラインフェルト(バイエルン州)
2017年 グントレミンゲンB(バイエルン州)
2019年 フィリップスブルク2(バーデン=ビュルテンベルク州)
2021年 グローンデ(ニーダーザクセン州)、ブロックドルフ(シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州)、グントレミンゲンC(バイエルン州)
2022年 イザール2(バイエルン)、ネッカーヴェストハイム2(バーデン=ヴュルテンベルク州)、エムスラント(ニーダーザクセン州)
メルケル首相は日本の福島原発事故の後、原子力政策の転換を決めた。2010年秋には、連立与党は平均して12年の稼働期間延長を決め、2036年までは原発が残ることになっていた。木曜には首相が連邦議会でエネルギー政策に関する政府演説を行う予定。
7月8日には、速やかな発効に向けて改正原子力法が連邦議会と連邦議会と連邦参議院を通過する見込み。SPDは「迅速で覆すことのできない脱原発ならば」と、改正原子力法に賛意を示している。それに対し、緑の党はまだ判断を保留しており、いざとなれば6月25日の臨時党大会で決断する意向だ。環境団体は、この脱原発は野心的とは言えないと批判し、グリーンピースは2015年までを求めている。電力会社は、予定されている残る9基の段階的な廃止が所有権の侵害にあたるのでは、と法的に耐えうるものなのか疑っている。しかし政府は脱原発の方法は法的に問題ないとしている。
https://www.sueddeutsche.de/politik/gesetzespaket-zur-energiewende-kabinett-beschliesst-atomausstieg-bis-1.1105474
2011年5月31日
連立与党の協議結果、2022年までに脱原発(要約)
前政権の脱原発を覆すことを決めてほんの7ヶ月後、連立与党はエネルギーシフトへ軌道修正で折り合いをつけた。数時間に渡る協議の後の月曜未明にレットゲン環境大臣は連立与党で見解をまとめたことを語った。あとは野党へ広く賛意を求めるばかり。CSU代表ホルスト・ゼーホーファーは、高レベル廃棄物の最終貯蔵地問題についてゴアレーベンの代替地の検討に反対していたが、再検討に理解を示し驚かせた。
協議結果のポイントは、
・ドイツの原発のほとんどを2021年までに閉鎖
・残る原発(新型の3基)は安全供給確保のために残すが、これらも遅くとも2022年までに閉鎖
・現在停止中の7基とクリュンメル原発はそのまま閉鎖(ただし、そのうち1基は2013年まで冷温状態で保持しておく。電力不足の際はまず化石燃料による発電で対処するが、それでも足りない場合に2年後の冬まで緊急用として用いる)
・燃料税はそのままとする(2016年まで有効とし、1基につき年間20〜30億ユーロを連邦予算に算入。しかし停止した7基とクリュンメル原発については年間10億ユーロに減額)
・連立与党は新たな原発と電力貯蔵装置の建設を加速する(電力網の構築を急ぐとともに、重要なインフラ計画がより早く実現できるようドイツ統一時のように計画加速法を整備するべき)
メルケル首相はこの計画は倫理委員会の勧告に添うものだとする。今回の協議結果では平均して32年の稼働年数になるが、これはかつての赤緑政権の脱原発の決定に相当する。レットゲンは当時野党としてこれを「エネルギー政策の不発弾」と嘲っていた。FDPは時間的猶予と修正条項を求めたが、レットゲンは「見直しはできない」と修正条項はないことを強調。
協議では燃料税についてはひとまず継続することで一致した。メルケル首相は、交渉の間にすでにSPDと緑の党に現状を伝えていた。野党はまだ疑問視しているものの、SPDは既に賛意を示唆したようだ。電力会社RWEは、「2022年は我々が望む日付ではない」と、法的手段に出る構えだ。RWEはモラトリウムに対しても既に訴訟を起こしている。燃料税に対する訴訟もE.onから起こりそうだ。EnBWとVattenfallはまだコメントを控えている。ダイムラー社は、政府は日本の原発の事故の後に非常に感情的に短期間で決定を下した、と批判的だ。「支払い可能なエネルギー供給からの離脱がリスクであるのは明白だ」と同社社長は語る。
https://www.sueddeutsche.de/politik/koalitionsgipfel-im-kanzleramt-fahrplan-fuer-atomausstieg-der-letzte-atommeiler-soll-vom-netz-1.1103081
2011年5月18日
レットゲン環境相、即時的な脱原発には同意せず(要約)
原子炉安全委員会(RSK)はここ6週間でドイツの原発を点検した。結果、法的な安全基準は満たしているものの、航空機の衝突に対する対策は不十分であることが明かとなった。しかしながらレットゲン環境相はこれを焦って脱原発する理由とは見ず、ストレステストが性急な脱原発を結論づけるわけではない、とする。だが「無理なく代替で補えるスピードで脱原発する」道筋を探さなければならない、との主張に留まった。報告書は広範に渡り現時点ではまだ評価できない、と言う。
どの原発を停止するかという政府の決定にこの報告書が大きな影響を持つ。連邦政府は福島原発事故の後、ストレステストを原子炉安全委員会(RSK)に委託。原発の残る稼働年数を決める新しい原子力法は、6月6日に内閣で可決される見通しだ。
報告書が公表される前に既に批判があった。シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州の原子力監督担当は、試験の期間が短いと環境省と委員会に苦情を出し、「指定された短期間では原発を監督するための評価は不可能」と認めざるを得なかったという。さらに、運営者への質問の多くは「通常の裏付けなしに」運営者自らの予測だけで出されたようだとの批判がある。発言の精査はほぼ不可能だろう。
緑の党は、これでは原発停止決定の判断材料になりえないとする。ジグマール・ガブリエル(SPD)も懐疑的だ。「原発を本当に点検しようとすれば少なくとも1年半はかかる。」また、彼が環境相の任期中に作成した新しい安全性基準は現政権(黒黄)になって無効にされたようだ、と彼は言う。安全性は30 年前の古い目録をもとに点検されたようだ。これは無責任と言えよう。
安全性チェックの結果は、エネルギー供給のための倫理委員会の最終報告書のベースとなる予定。その原案は既に公表済みだ。そこでは2021年までの脱原発と現在停止している8つの原発の即閉鎖が検討されている。
https://www.sueddeutsche.de/politik/bericht-zur-akw-ueberpruefung-stresstest-unter-stress-1.1098331
2011年5月11日
倫理委員会、2021年までに脱原発(要約)
倫理委員会によればドイツは次の10年で脱原発が可能だという。同委員会の報告書案では、福島原発事故の直後に停止させた7つの原発はそのまま閉鎖し、既に停止中だったクリュンメル原子力発電所も同様に扱うことを勧告。残る9つの原発については10年間での停止を勧めている。最大限努力すればより短期間での脱原発も可能だとする。また、停止させる順番もこれまでの稼働期間ではなく、原子炉の安全性基準に基づいて決めるべきであるという。
いつどのような条件下で原発を早期停止してよいかは、連邦政府軍事観察委員制度をモデルに、エネルギーシフトのための観察委員を議会で任命し、それにより監視するべきであるとする。また、それとは別にエネルギーシフト・ナショナルフォーラムを設けて公開討論を開き、温暖化防止、電力供給安定、経済性の問題を扱うとともに、再生可能エネルギーへの迅速な移行と省資源の取り組みについての提案を行うべきとする。
この早い時点での草案は、関係当局に騒ぎを巻き起こすだろう。倫理委員会は当初、現在原子炉のリスクを調査中の原子炉安全委員会の報告書をまず待ち、それをもとに案をまとめる予定だった。しかし原子炉安全委員会の結果が出るのは来週が見込まれる。それに対し、倫理委員会は5月末に報告書を出す予定だった。この報告書をもとに連邦政府はエネルギーシフトについて決定するつもりだ。
CDU/CSU党内では、抜け穴を残しておくべきという声が増している。急いで脱原発のタイミングを決めるのは「非常に危険であり憶測に過ぎず」、2年ごとに精査するなどの「見直しのためのメカニズムを伴う脱原発のシナリオ」が必要だとする。また、野心的な計画期間を鑑みて、予測不能な理由から行き詰まる場合に備え、政府は代替案も用意するべきだとしている。そうなれば、石炭の場合と同じようだ。石炭採掘への補助金は本来2012年に再度精査される予定だった。だがEUの意向でこの条項は削除された。CDU/CSUにとっては、そのような見直しの条項は、納得でき兼ねる経済担当者を取り込むための考えうる妥協策なのだ。
https://www.sueddeutsche.de/politik/bericht-der-ethikkommission-atomausstieg-moeglich-bis-1.1095728
2011年5月10日
日雇い労働者、原発事故現場で不本意な重労働に従事(要訳)
トラック運転手の仕事に応募し、たどり着いたのは破損した原発エリアだった。
「世界一危険な原発」が停止(要約)
浜岡原発を操業する中部電力は菅首相の圧力に屈し、4号機と5号機の停止を決めた。定期検査で停止中の3号機は差し当たりそのまま、1号機と2号機は廃炉が決まっている。
浜岡原発停止の要請は突如出された。浜岡が世界一危険な原発になろうことは、建設開始前に既に言われていた。日本の地震学者は、浜岡原発のある静岡県が次の30年でM8級の地震に襲われる確率は87%と見積もる。9メートルに及ぶ津波を引き起こしうる。浜岡は他の日本の原発より耐震強化された設計だが防波壁はない。東京電力同様、中部電力はコストのために安全対策強化の必要性を否定していた。
神戸大学名誉教授(地震学)の石橋克彦氏が2007年に原子力安全委員会のメンバーとして地震による原発事故の予測シナリオを作った際、彼は浜岡を例にあげた。福島第一より事故の確率が高いだけでなく、事故が起きた場合の危険性もより高い。事故が起きれば東京からの避難が必要、と石橋氏は警告していた。福島のように周辺20kmが立ち入り禁止区域となれば、原発付近を通る日本の交通の要である東海道新幹線や高速道路が遮断されてしまう。
菅首相は、法的根拠がないのを意識しながらも、政治的信頼を賭けて要浜岡原発停止を要請した。今のところ少なくとも短期的には国民から支持を得たと言っていい。名目上は私企業である日本の電力会社がどのような自己理解をしているかは、停止に伴う追加費用を顧客や株主に転嫁するわけにはいかないという中部電力の水野明久社長の発言から明らかだ。国がそれを負担せよというわけだ。
浜岡の件で、菅首相は官学産の腐敗した徒党を差すいわゆる「原発村」から初めて距離を置いた。ただ、首相が得たのは賞賛だけではない。また、仙谷官房副長官が他の原発を停止することはないと保証したのに対し、細野首相補佐官はまだ何も決まっていない、と言う。市民は割れている。浜岡原発のある小さな町御前崎でも同じだ。不安は大きいが、原発によって税金が支払われ、雇用が生まれた。浜岡は防波壁が建てられるまで2年間は停止となる。
https://www.sueddeutsche.de/panorama/japan-reaktoren-in-hamaoka-gefaehrlichstes-akw-der-welt-wird-stillgelegt-1.1095211
2011年5月7日
東京電力、更なる故障:原発で電動弁に異常(要訳)